挿絵も綺麗な「御宿かわせみ」傑作選
「御宿かわせみ」シリーズから、九つの話が収められた作品集。 「初春の客」「江戸の子守唄」「美男の医者」「白萩(しらはぎ)屋敷の月」「源三郎祝言」「虫の音」「忠三郎転生」「春の寺」が収められています。読めばいつも泣けてきてしまう大好きな「岸和田の姫」以外では、「白萩屋敷の月」が印象に残ります。神林東吾(かみばやし とうご)と、「御宿かわせみ」の女主人るいとの恋模様の、情感が湛えられているしっとりとした風情が、何とも言えずいい作品集です。なかなか話がふたりの結婚へと進んでいかないので、やきもきしちゃいますけれど。 東吾が、南町奉行所の与力を務める兄を慕う気持ちをはじめ、親が子を思う気持ちの深さ、娘が男を想う気持ちの切なさなどが細やかに描き出されているところも、ぐっときます。しみじみと胸に迫ってくるものがあります。 本書に収められている蓬田やすひろさんの数々のカラー挿絵が、またとても綺麗です。「御宿かわせみ」の話に一層の彩りを添えていて、見とれてしまうこともしばしばでした。
長年のファンもこれからの方も
わたしは長年のかわせみファンです。もちろん、手元に本も持っていてこの本に収録されているお話はすべて何度も読んだ事があります。 でも買ってしまいました。まず挿絵がカラーですごく綺麗、しっとりした色遣いにうっとり、静かな絵、静かな中にも壮絶な雰囲気の絵、身を切るような悲しいシーンとどの絵にも魅入ってしまいました。 そして収録されているお話はどれももちろん読みごたえのある「かわせみシリーズ」ならではの魅力いっぱい読みごたえいっぱいの作品でした。 元は同心の娘であったおるいと、与力の次男、東吾の忍ぶ恋、登場人物たちの 人間模様、江戸の町に生きる人の切なさに引き込まれて、何度でも読みふけってしまいます。 そして、これまでも文庫も版を重ねるごとに、いろいろと設定や描写の細かい所が修正されているようですが、この本もわたしが持っている十年ほど前の文庫本とはいろいろ違うところがあって、そういう所もついつい楽しんでしまいました。 「かわせみ」シリーズ、いっぱいありすぎて何からよもうかしら、と思われておいでの方にも、もう何度も読んでいる方にもおすすめです。
文藝春秋
御宿かわせみ傑作選〈2〉祝言 (御宿かわせみ傑作選 (2)) 御宿かわせみ傑作選〈3〉千手観音の謎 (御宿かわせみ傑作選 (3)) 新・御宿かわせみ 華族夫人の忘れもの―新・御宿かわせみ 浮かれ黄蝶―御宿かわせみ (御宿かわせみ)
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