江戸の情緒と人情と・・・
大掘端にある旅籠「かわせみ」を舞台にした、平岩弓枝のライフワークとも言える時代小説。この作品の魅力は、なんと言っても魅力的な登場人物たち。かわせみに腰を落ち着けた東吾はもちろん、定廻り同心の畝源三郎など役人でありながら情に厚いキャラクターが多い。 また、「宮戸川の夕景」、「辰巳屋おしゅん」のように人の醜聞や世間の不条理さを描くこともあれば、初春弁才船のような清々しさを感じさせる作品を描き、多彩な展開を楽しめるのもこのシリーズが支持される所以となっているのだろう。 先にあげた作品を含め、全7話が収録されている。
江戸の春に乾杯!(表題作に宛てて)
久しぶりに“かわせみ”の雰囲気に浸りたくなり、本書を手にとってみました。 なんせご無沙汰していた“かわせみ”シリーズ。いつの間にか東吾とるいが夫婦になってるし、かわいい子供までいるし、東吾の幼なじみで八丁堀の同心をしている畝源三郎にも子供がいるし(つうか、もう少年になってるし)……。いきなり時を超えたタイムトラベラーのように目を白黒してしまったわけですが、シリーズ・キャラのそれぞれが元気で無事に過ごしている姿に接して、心がほかほかしてきました。 平岩弓枝さんの紡ぐやわらかな日本語の調べ、それがいいですねぇ。江戸の季節が冬から春へ、春から夏へと移ろいゆくなかで、東吾とるいをめぐる人たちが、お互いに信頼し合って生きている。心と心を通わせながら、江戸幕末の町を生きている。 事件の謎解きの面白さよりも、人情もの小説のあたたかな雰囲気に重点を置いた話と言っていいでしょうか。そこには登場人物たち、特に少年や子供たちが成長していくのを見守る楽しさもありますね。妙な緊張はせず、ゆったり、豊かに生きている彼らが愛おしくなってくる、そんな読み心地を味わいました。 収録作品のなかでは、表題作が一番気に入りました。師走から元旦にかけての弁才船をめぐる話。ひとりの若者がたくましく成長していく姿、それがとても清々しかったですね。読み終えて新春を寿ぐ気持ちに包まれまして、心のなかで「乾杯」と呟いていたのでした。
かわせみファミリーは健在です
〜表題作『初春弁才船』のような少しハラハラする話、『辰巳屋おしゅん』のような 悲しい話など、人情派のかわせみファミリーは健在です。そして『メキシコ銀貨』 のような、いかにも幕末といった話もあり、時間の流れを感じます。 (『メキシコ銀貨』には今後の伏線となるくだりもあり、期待が高まります) また、著者が使う日本語は相変わらず美しく、〜〜この部分も私の気に入っている所と なります。〜
待ちに待った新刊(文庫本)!!
やっと「御宿かわせみ」の文庫版の新刊が!。嬉しくて、読み終わるのがもったいないので、ゆっくり読みました。相変わらず、かわせみファミリーは、人情あつく、やさしく、あたたかです。千春もちょっと大きくなっていて、その成長ぶりがほほえましかったです。
文藝春秋
鬼女の花摘み 御宿かわせみ(30) (文春文庫) 佐助の牡丹 御宿かわせみ28 (文春文庫) 江戸の精霊流し―御宿かわせみ〈31〉 (文春文庫) 横浜慕情―御宿かわせみ〈27〉 (文春文庫) 長助の女房―御宿かわせみ〈26〉 (文春文庫)
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